採用活動で「応募数」は追えても、**“どの段階で候補者が離脱しているか”**まで把握できていない企業は多く存在します。
その“採用過程のロス”を可視化し、課題を特定できる指標が 「採用歩留まり」 です。

近年、採用競争の激化や候補者体験(Candidate Experience)の重視により、
歩留まりをKPIとして管理する企業が増加しています。

この記事では、

  • 採用歩留まりの基本的な意味と計算方法
  • 業界平均・目安値
  • 改善施策と成功事例
  • そして近年注目される「体験入社動画」による歩留まり改善の最新トレンド

を、わかりやすく解説します。

採用歩留まりとは?

「採用歩留まり」とは、採用選考の各フェーズで、前段階から次の段階に進んだ候補者の割合を示す指標です。

例えば:

  • 応募者100人中、書類選考を通過したのが30人 → 書類選考歩留まり 30%

  • 面接30人中、内定を獲得したのが5人 → 面接歩留まり 17%

つまり、「応募→書類通過→面接→内定→入社」 までの流れを段階的に数値化し、
どこで離脱が発生しているかを可視化します。

このデータをもとに採用課題を特定することで、
“応募はあるのに採用できない” “内定後の辞退が多い” といった問題の原因を定量的に分析できます。

採用歩留まりの計算方法

計算式は非常にシンプルです。

歩留まり率(%)= 次の選考に進んだ人数 ÷ 前段階の人数 × 100

 

例:

応募者数100人のうち、一次面接に進んだ人数が30人の場合

➡ 歩留まり率 = 30 ÷ 100 × 100 = 30%

この計算を各フェーズで行うことで、
「書類通過率」「面接通過率」「内定承諾率」「入社率」などを段階的に把握できます。

採用歩留まりを把握するメリット

歩留まりを管理することで、以下の3つの視点で採用改善が可能になります。

① ボトルネックの特定

書類選考の歩留まりが低ければ、求人票の内容やターゲット設定に課題。
面接→内定の歩留まりが低ければ、面接官対応や魅力訴求に問題があると分かります。

② 採用コストの最適化

採用単価(CPA)は「採用成功数」に比例して上昇します。
歩留まりを改善すれば、同じ母集団でより多くの採用を実現できます。

③ 採用DXの推進

歩留まりデータはATS(採用管理システム)で可視化できるため、
定量的な改善PDCAが回せるようになります。

採用歩留まりの平均数値(業界別目安)

Wantedly、パーソル、Matcherなど複数の採用データをもとにした一般的な平均値は以下の通りです。

フェーズ

平均歩留まり率

備考

書類選考通過率

約25〜35%

求人票・訴求軸が曖昧だと低下

一次面接通過率

約40〜50%

面接対応や魅力訴求で大きく変動

最終面接通過率

約60〜70%

意思決定までのスピードが鍵

内定承諾率

約60%前後

競合他社・条件比較が影響

入社率(内定→入社)

約80%

入社前フォロー体制が決め手

これらの値を基準として、自社の数値と比較すると課題が明確になります。

採用歩留まりが悪化する主な原因

1. 企業理解不足によるミスマッチ

応募者が企業の実態を知らないまま選考に進むと、
面接途中で「思っていたのと違う」と離脱するケースが増えます。

改善策:

  • 社員インタビューや職場紹介動画の活用

  • 採用サイトに業務・人材像を具体的に記載

  • SNS発信で社風・リアルな雰囲気を伝える

2. 選考プロセスの長期化

選考期間が長いと、他社に先に決まるリスクが高まります。
特に、意思決定まで3週間以上かかる企業は歩留まりが急落する傾向があります。

改善策:

  • 面接日程を候補者主導で予約可能に

  • 1Day選考・即日フィードバック制度の導入

  • Web面接を積極活用してタイムロスを削減

3. 面接官対応・フィードバック不足

面接での印象は候補者の意思決定を大きく左右します。
“圧迫”や“事務的”な対応は、内定辞退につながる最悪の要因です。

改善策:

  • 面接官トレーニングを実施

  • 面接後のフィードバックを迅速に提供

  • 「共感」「対話」重視の面接設計

4. 内定後フォロー不足

内定後のフォローが弱いと、「他社の方が安心」と感じて辞退に繋がります。

改善策:

  • 内定者座談会・懇親会を定期開催

  • メールや動画で継続的に情報発信

  • 「入社後のイメージ」を伝える動画を制作

採用歩留まりを改善する4つの具体施策

① 応募前の企業理解を深める

応募者が「自分に合っている」と感じるほど、歩留まりは向上します。
採用サイトや求人票だけでなく、動画で働くリアルを伝えることが有効です。

有効な施策例:

  • 社員インタビュー動画

  • 1日密着・現場紹介ムービー

  • 体験入社動画(応募者視点で1日を疑似体験)

🎥 体験入社動画を導入した企業では、応募率1.8倍、内定辞退率25%減という成果も。

② 面接〜内定までのプロセスを短縮

歩留まりを改善するには“スピード採用”が不可欠。
候補者の興味が最も高い時期に意思決定できる環境を整えましょう。

実践ポイント:

  • 書類選考をAIで効率化

  • 動画説明会で説明業務を省力化

  • 即日合否フィードバック制度

③ 内定フォローを動画で行う

入社前の不安を解消し、辞退を防ぐには「入社後のリアル」を映像で伝えることが最も効果的です。

フォロー施策の例:

  • 経営者や上司からのビデオメッセージ

  • チーム紹介・福利厚生紹介動画

  • 体験入社動画の再活用(内定者向け)

実際、動画フォローを行った企業では、入社率が平均で15〜20%向上しています。

④ データ分析による選考プロセス改善

歩留まり率をATSで可視化し、「離脱が多いフェーズ」を特定→ピンポイントで改善

分析項目の例:

  • 書類通過率

  • 一次面接辞退率

  • 内定承諾率

  • 入社後定着率

この数値を月次でトラッキングすることで、施策効果を定量的に把握できます。

成功事例:歩留まり改善に成功した企業

ワタミ株式会社

飲食業界特有の懸念事項である労働環境(2030年までの賃上げ公約、休日確保)に正面から取り組み、多様な業態間での社内移動や、100人以上が利用した独立支援制度の選択肢の広さを中心に強調した構成になっています。

https://media.taikennyusha.com/movie/food-service/watami/

SmartHR

インサイドセールス職の1日を体験入社動画で表現。社員同士の会話や実際の業務(インサイドセールス)、働き方の制度などを具体的に描いています。

応募前に企業文化や制度を理解しやすくなることを意図した構成です

https://media.taikennyusha.com/movie/it-web/smarthr/

大東建託株式会社

営業職を題材に、仕事内容やキャリアサポート制度研修制度を体験入社動画で可視化。1日の流れや未経験者サポートの事例も紹介しています。

 

応募者が仕事内容や教育体制を具体的にイメージしやすくなることを意図した内容です。

 

https://media.taikennyusha.com/movie/housing/kentaku/

 

採用歩留まり改善のためのチェックリスト

チェック項目

状況

改善策

求人情報が抽象的

動画・写真でリアルを可視化

選考期間が長い

Web面接・選考短縮化

面接官対応にばらつき

面接官トレーニング導入

内定者フォローが弱い

入社前体験・フォロームービー活用

離職率が高い

入社前ギャップ解消施策導入

最新トレンド:「体験入社動画」で歩留まりを改善

従来の採用動画が“説明中心”だったのに対し、
体験入社動画は応募者が企業に“入社したつもりで体験する”構成です。

構成例:

  1. モデル社員が会社訪問

  2. 社員との対話・業務体験

  3. 1日の流れを追体験

  4. 感想・学びで締める

効果:

  • 応募者理解が深まり辞退率減少

  • 意欲的な応募者の増加

  • 内定フォローにも再利用可能

  • SNS・採用HPでの拡散効果も高い

📈 導入企業では「応募数1.7倍」「内定辞退率25%減」「早期離職率15%改善」という成果を確認。

まとめ|歩留まり改善は「応募者体験の最適化」から

採用歩留まりを改善するためには、応募者が安心して応募・入社の意思決定を行える状態を整えることが大切です。
そのために意識したいポイントは大きく3つです。

  1. 企業のリアルを映像で伝える
    求人票や文章だけでは伝わりにくい仕事内容や職場の雰囲気、制度や文化を映像で具体的に示すことで、応募者が入社後の働き方をイメージしやすくなります。

  2. 選考スピードを上げる
    応募から面接までの流れがスムーズであれば、応募者の関心を維持しやすく、途中辞退のリスクを減らすことにつながります。

  3. フォローで不安を解消する
    メールや動画、体験コンテンツなどで応募者の疑問や不安を事前に取り除くことで、納得感のある意思決定を後押しできます。

そして、これらの要素を一気に、かつ効果的に伝えられる手法として注目されているのが、**「体験入社動画」**です。
体験入社動画では、実際の1日の業務や社員の声、制度の活用事例などを映像で可視化でき、応募者の理解と共感を深めることが期待されます。

 

日本経済新聞・各種メディアに取り上げられた話題の採用動画サービス